(コラム)数感覚を育てよう

「数感覚」という言葉を聞いたことがありますか?「数量感覚」とも表現されています。

 

とある数学の論文の中にこのように説明されていました。

(1)数の合成分解ができる (たし算ひき算、5や10の補数など)

(2)数の相対的な大きさ

(3)数の絶対的な大きさ

(4)基準を使う(「0」や「1」、「10」「100」などの位)

(5)数の美しさの感得  他

 

このような「数感覚」は算数の学習ではとても重要です。現代の便利な世の中では子どもたちの「数感覚」を育てる場がどんどん減っています。

例えば・・・

貨幣を使って買い物をする→電子マネー、ネットショッピング

おやつを分ける→個包装化、少子化、核家族化

アナログ時計を使わなくなる

 

「数感覚」が育つと、分数やわり算の商の見立て、四捨五入など小学校の算数でつまずきやすい学習での理解がしやすくなります。算数のLDの子の指導にもまずは「数感覚」を育てることから取り組んでいます。

 

(家庭でできる数感覚を育てる方法)

<声に出して数える唱える>

(関連する学習:大きな数、たし算、ひき算、九九、時計の読み、倍数など)

 日常的に「肩までお風呂に使って10数えようね」「20数えて待っててね」など数える場面を増やします。正確でなくてもよいときは「10数えよう」を活用しましょう。100まで大きい順(順唱)、小さい順(逆唱)、5とび、10とびの順唱、逆唱、20までの2とびなどがスラスラ言えるようになるとよいです。最初は何か表を見ながらや大人の見本を真似する、ちょっとずつ取り組むなど工夫するとよいです。2とび、5とびはそのまま九九の2の段、5の段になります。九九そのものも「唱える」活動です。

 

 

<配る、分ける>(関連する学習:ひき算、かけ算、わり算、分数、平均など)

 おやつや食事やその他の場面で家族や兄弟のものを配る経験を増やします。そのとき、4人家族なら「1,2,3,4」でもよいですし、「全体が20個だから4人で分けると一人5個ずつ」のような分け方もできます。1個ずつ配った後に「一人分は5個だったね」と確認するとかけ算の学習にもつながります。紙パックからジュースを等分に分けることは平均の学習の導入場面と同じです。ケーキやピザなどの丸いものを等分すると分数も感覚で掴みやすいです。

                              

 

<実際のお金で買い物をする>(関連する学習:たし算、ひき算、大きな数、およその数など)

 お子さんと一緒にスーパーなどに行ったときに「100円で買える分だけ」とお菓子を選ばせるとお子さんはワクワクしながら計算をします。さらに100円持ってレジに並ぶ前にお釣りの計算や「だいたいいくら?」などの見当をつけるのもよいです。慣れてきたり、学年が上がったりして一人でおつかいもできるようになれば、もう少し大きなお金での買い物の経験もよいでしょう。10円玉100円玉で位取りの感覚も掴めます。実際のお金で買い物が難しい場合、おもちゃのお金を使ったゲームもあります。

 

<量る経験をする>(関連する学習:水のかさ、重さ、長さ、平均、割合など)

 家庭は計量の宝庫です。計量カップやクッキングスケールで実際量ったり、目盛りを読んだりする経験ができます。重さをはかる前に予想させてから図るのも数感覚を養えます。また、めんつゆ等の水で薄めるものは割合の学習の導入と同じです。家庭にある長さを測る道具も裁縫セットのメジャーや工具の巻尺などもあります。いろいろな形態の長さを測るのも面白い発見があります。また、キッチンタイマーも量る経験になります。

<アナログ時計、カレンダーに触れる>(関連する学習:時計、時刻と時間など)

 アナログ時計は家庭の中から消えつつありますが、腕時計や目覚まし時計など探せばまだあります。10を単位で考える10進法が当たり前です。アナログ時計は12が基準の12進法の導入にもなります。円や球の1周360度の感覚にもつながります。「長い針が1で5分」「2で10分」は5とびや5の段の九九の感覚ともつながります。

 カレンダーは「7が単位」です。九九では7の段覚えにくいものの1つです。カレンダーの縦の並びや「5日の1週間後は12日」など7を足したり引いたりして日付を計算で出すこともできます。

 

今回紹介したものは参考例です。ご家庭の事情やお子さんの関心によって楽しく無理しない程度に取り組んではいかがでしょうか。

 

 

 

更新日:2024年02月06日 14:49:07